牛若丸

牛若丸

むかし、京の都に武蔵坊弁慶という荒くれ坊主がおりました。

弁慶は夜な夜な街角で待ち伏せをして

人の刀を奪っていました。

そして刀は九百九十九ふりを数えるまでになりました。

「よし、残るはあと一ふりじゃ。」

と五条の大橋で立派な刀の持ち主の現れるのを待っていました。

やがて何処からか美しい笛の音が聞こえてきました。

弁慶が目を凝らすと

白い装束に体を包んだ少年が

黄金づくりの見事な太刀を腰に下げ

笛を吹きながらやってきました。

「なんとすばらしい刀だろう。

よし、あれを奪い取ってやろう。」

と少年の前に立ちはだかり

なぎなたを構え、襲いかかりました。

少年は弁慶の脇をかいくぐると

抜いた刀でなぎなたを打ち払いました。

そして橋のらんかんの上にひらりと舞い上がり

目にも止まらぬ早さで刀のみねで弁慶を打ち伏せました。

この少年こそ

後の世に名をとどろかせた源義経

若い日の牛若丸だったのです。

弁慶は牛若丸の家来になりました。

その後、源氏の天下をとるために

義経と弁慶は力を合わせて平家と戦い

数々の合戦を勝ち抜きました。

そして弁慶は一生を義経のために尽くしました。

出展:読みがえれ伝承音楽より 清浄庵

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