源氏物語の世界

源氏物語の世界

柏木は、笛の名手でした。

柏木が亡くなったあと、柏木が愛用した笛は夕霧にわたりました。

ある日、夕霧の枕元に柏木が現れ、笛をじっと見ています。

笛の名手であった柏木は、亡くなったあとも

自分の笛が恋しかったのでしょう。

「夕霧が少し眠りに入ると夢の中に

あの柏木が生きていた頃の

直衣(なおし)もつけない袿(うちぎ)姿で

そばに座り

じいっとかつての愛用の笛を取って見つめている。」

柏木は、亡くなったあとも自分がかつて愛用した笛を

恋しく思い亡霊として夕霧の枕元に現れていたのです。

そして、柏木は夕霧に語りかけます。

「私が愛用した笛を、長く子孫に伝えてほしい」

そしてその後、源氏の君の手を経て

柏木と女三の宮の子である薫の君の手にわたります。

こうして、かの世からの柏木の願いはかなえられました。

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